懸賞

   メリークリスマス
     Written by 旅人



 雪




 雪が降っていた




 そら一面に広がる雲から




 音も無く




 白い、真っ白い雪が全てを覆いつくすかのように降り積もっている。




「ねぇ、祐一くん」

 今は商店街の半ば。
 俺とあゆは秋子さんから用事を頼まれ、お使いという名のデートに駆り出されていた。

「ん?どうした、いきなりまじめになって」

 さっきまで楽しそうに話をしていたあゆが、ふと静かになったと思うと
 今度は急にまじめな顔で話しかけてきたのだ。

「あの、ボク……ボク、生きてる……よね?」

 あゆが立ち止まる。

「なんだ、いきなり?」

「ぼ、ボクっ、祐一くんとこうやってお話したり、遊んだりするの、
 ず、ずっと楽しみにしてて……その……」

「いま、こうして一緒に居られるのが本当に幸せで。
 でも、この幸せはボクがまだ病院で見てた夢だったらって……思って…」

 語尾が段々と下がっていく。
 につれて顔の表情も段々と暗いそれに変わっていく。

「本当のボクはここには居ないかもって、この目で見てることが全部夢かもしれないって
 そう思って」

 あゆが俯いているうえに背の関係で見えないが、きっとあゆは今にも泣き出してしまいそうなほど
 悲しい顔をしていると思う。
 実際に見なくても分かる。


「…………ゆめ……かもな」

「え?」


 俯いていたあゆの顔が跳ね上がる。
 その顔の目じりには薄っすらと滴が。


 そんなあゆを包み込むように抱きしめて

「こんな聖なる日に、こんな暖かくてやわらかい恋人と過ごす時間のことを夢だというのなら、
 俺は何度だって見たいぞ」

 あゆにむかってそう言ってやった。

「う……ぐっ……ゆ、祐一……くん……」

 あゆはその瞳を揺らめかせ、それを隠すように俺の胸に顔を押し付ける。
 そして、祐一の目の前にゆれる白い雪を見ながら。

「さぁ、神様も俺たちを祝福してくれてるみたいだしな」

 あゆの頭を撫でてやる。

「あゆ」

 あゆの名前を呼ぶ。

「うぐ?」

 あゆが顔を上げるのを見計らってその唇に自分のそれをあてる。

「あ、あのっ、ゆ、祐一くんっ」

「あゆ、メリークリスマス」









   ※※※※※後書く※※※※※

 はい、以前Topにおいていた物の使いまわしでございます。
 それ故短くて……え、他のも短いだろって?
 いえ、短いわけじゃなくてデスね、読みやすい長さを自分なりに考えて………。
 ふ、ふんっ!長いのかけないんだからしょうがないじゃん!(あ、開き直った。
 ま、そんな訳で(どんな訳だ
 あゆ&祐一のクリスマスでした。
 では、他の小説でお会いしましょう。



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