Runnaway ver.KEY ACT.4
     作者:DJ EVO



注意: この物語はフィクションです。
なので、登場人物たちがする行為を真似をして他人に迷惑をかけないようお願い致します。
実際の道路では、道路交通法を守り安全で楽しいカーライフをお楽しみ下さい。
キャラのイメージと車が一致しないかもしれませんが広い心でお読み下さい。


ACT.4

峠の帰り道、祐一は晴香に言われた事を思い出した。
「少し帰り道からそれるけどいいか。」
インプレッサはいつも帰る道の脇道に曲がっていく。その後ろに180SXもついていく。
「あれ?この道って確か香里の家に行く道だったような気が…。」

閑静な住宅街にただ一つだけ灯りが点っている家がある。その家のガレージから住宅街には
不似合いな車が一台停めてある。その隣にはフルノーマルのホンダフィットが停められてある。
その不似合いな車は真っ赤に染められたホンダDC2インテグラTYPE-R。
低い車高にカーボンボンネット、潔く外されたリヤウイング。リヤシートや内装さえも外され、
無骨に張り巡らされたロールゲージ。ボディに貼るステッカー等の類は一切無く、走りに必要で
あるものしかない。一見、地味な印象を受けるが、この車の持ち主がどれだけ走りに対して積極的
なのかがよく分かる。運転席にはその車には不似合いな女性が乗っている。

運転席に乗るのは美坂香里。性格がそのまま車の仕様に反映されてる。
イグニッションキーをまわし、エンジンがかかる。自然吸気エンジン特有の甲高い音がガレージ
内に響き渡る。少しアクセルを踏み込むだけで一気にレッドゾーンまで到達し、気持ちよく回る。
一般人からしてみれば、ただうるさいだけなのかもしれないが、
香里にとっては心地よい音に聞こえるらしい…。

「うん、今日もいい音してるわね…。」
そう言う香里の顔は和らいでいる。よほどこの車の事が好きなようだ。

と、その時閉まっていたガレージの扉が開きだした。
「あら?栞、帰ってきたみたいね。」

フィットの隣に栞の車がバックで入って駐車する。
「ハァ〜相変わらず、派手ねぇ…。」
香里が思わず大きな溜め息を出すくらいの派手な栞の車は、香里のインテグラよりもオレンジ
寄りな赤色のホンダEG2 CR-Xデルソル SiR。
ボディ全体には派手なバイナルグラフィックが施され、同様に派手なエアロが、リアにはGT
ウイングが装着されてる。フロントバンパーから見えるインタークーラーがターボチューン
だという事と他のノーマル車とは違う事を教えてくれる。俗に言うスポコンである。

「あれ、お姉ちゃんまだ寝てなかったの?」
栞はCR-Xのドアを開けると、ドアを開けると羽根のように上に上がった。
最近、注目されてるガルウイングというヤツだ。
正確にはセミウイングと言わなければならないのだが…。
「こんな走りに関係ないものよくつける気になったわね。」
呆れ顔でドアを見ている香里。
「えーっ、だってかっこよかったんだもん。」
「だからってねぇ〜。」
姉妹といえど、ここまで好みが違うものなのかと思ってしまう香里であった。
「そういえば、仕事の方はどうだったの?」
「だいぶ、慣れたわよ。まだ覚える事がたくさんあるけど…。」
「まさか本当にお姉ちゃんが薬剤師になるとは思わなかったよ。でも、お姉ちゃんらしいよ。」
「そう?あんたは大学3年だっけか?そろそろ就職とか考えた方がいいわよ。善は急げっていうし。」
「まだ気が早いよ。もうちょっと後でもいいんじゃない?」
「何言ってるの。時が経つのは早いんだからね。」

二人が話していると遠くから聞き慣れた音が二台近づいて来る。
「あら?珍しいわね。こんな時間に来るなんて…。」
「あっ!!祐一さんだよ、この車の音は。」

「ん?この時間帯にガレージに明かりがついてる。珍しいな。」
祐一と名雪は車を路肩に停めた。
「よう!二人とも久しぶりだな。」
「香里ーっ、久しぶり♪栞ちゃんも久しぶりー。」
「そんなに久しぶりじゃないんだけど、まあいいわ。」
「お姉ちゃん!そういうこと言わないの!!あっどうも、お久しぶりです。」
すかさず栞がフォローする。
「ああ、晴香から伝言頼まれてたんだよ。」
晴香の名前を聞いた途端、香里の顔がキッとした目つきに変わった。
「で、晴香はなんて言ってたの?」
「次の交流戦では、絶対に負けない!だとさ。妙に自信満々だったな。」
「そう…。私も負ける気は全くないわ。」
香里も晴香と同じようにライバル心剥き出しに言う。
「香里…。顔凄く怖いよぉ…。」
滅多に見ることのできない香里の本気の顔を見た名雪は顔を見て怯えてしまっている。
「もうちょっと友好的にできんのかねぇ〜。」
「まったくです。」
さすがの祐一と栞も呆れてる。なぜ、晴香の事になるとこんなにも熱くなるのかがよく分からない。
初めて会った時からそうだった。どちらも喧嘩腰な態度であった。
幾度も勝負をし、どちらも一歩も譲らず、今までの勝負では決着はついていない。
「とりあえず、用件は伝えたから。んじゃ、そろそろ帰るわ。行くぞ名雪。」
「じゃあねぇ〜、香里、栞ちゃん。」
二人はそれぞれの車に乗り込み、帰っていく。
「バイバイ!気をつけてねー。」
「それじゃ。」

二台は他の住民達が、起こさないように静かに帰って行った。
「あたしは、もう寝るわよ。おやすみ。」
「おやすみなさい。あっ!お風呂に入らないといけないんだった。朝、早いから早く入らないと。」


水瀬家に着いた二人は、寝ている秋子さんを起こさないように床についた。


その数時間後……。太陽と月が入れ替わる時間。まだ薄暗く霧がたちこめている誰もいない峠には
二台の車が現れた。
頂上に車と停めると二人の女性が降りてくる。
「誰もいないねぇ〜。」
「そうね…。その方がいいんだけど。それじゃあ、練習を始めましょうか…。」
「うん!!」

ACT.4  END



あとがき

また現れました二人組。さあ、一体誰でしょうか? いや、絶対分かるだろう(汗) 
はちみつくまさんな人と、あはは〜な人はまだ登場いたしません。あしからず…。
ここで訂正です。由衣の車はGA1シティではなく、GA2シティでした。すいませんでしたm(_ _)m
あれ?北川は? ご心配なくちゃんと出しますよ(笑)それでは、失礼します。