しんちゃん

どうしたの?ゆきな

あのね、やくそくしてくれる?

?いいけど、なにを?

うんっとね・・・えっと・・

もう〜、はやくいってよ!

うん、わたしがおとなになって、きれいなおんなのひとになったら

なったら?

そのときは・・・・























    「幼馴染」
     作者:空ーAIRー




















「春」



「ちょっと〜、聞いてるの?」

「うるさいなー、ちゃんと聞いてるよ」

「信ちゃん、今年から部長さんなんだからしっかりしてよ〜」

「そうゆう雪奈だって副部長だろ?副部長ってのは部長をサポート

するもんだからしっかり働いてくれよ」

「もぉ〜!だからってサボっちゃだめなんだからね!」

と、プンスカ喚いてるのは俺の幼馴染の梁瀬雪奈

小さい頃から一緒で部活も俺と一緒で陸上をやっている

どこかのほほんとしている雪奈だが、以外に早く一年生の頃

から短距離で決勝進出を果たしている、今年の新人戦の

100m、200mの二冠候補筆頭のやつだ

「お前だって俺任せでサボるんじゃねぇぞ?」

「う〜、サボったりしないもん!」

「はいはい、ほら!さっさと部活行くぞ!」

「わっ!ちょっと待ってよ〜」

「・・・はぁ、早くしろ」

一応待っておく

「はぁ・・はぁ・・・えへへ」

怒ったと思ったら今度は笑ってるよ・・・

「お前、見てて楽しいな」

「それ、どうゆう意味?」

むぅ〜と睨んでくる(別に怖くないのだが)

「べつに〜」

「なんか馬鹿にされてるような・・」

「してないしてない」

「本当〜?」

「本当だって、てかお前どこまで着いてくる気だよ」

「へっ?」



男子更衣室

「雪奈のえっちぃ〜」

「わ〜!!違う!そんなんじゃないもん!」

蒸気機関車のごとく煙をはいて走っていく







「32・・33・・34・・ピッ!」

今日は新体制になっての初練習とゆうことで、みんなで300mのTT(トライアル)

をすることになった

ちなみに俺の自己ベストは35秒56、このタイムだと400mに換算すると48秒中盤

で間違いなく県大会どころか地方大会、へたしたら全国ですら上の方でもやっていける

タイムである

「はぁ・・はぁ・・た・タイムは?」

「34秒32です」

「・・よし!いい感じだな」

最近調子が上向きで、今日もいけると思っていた

「おつかれ〜、はい」

首にタオルがかけられた

「ありがとうな」

「どういたしまして、しかし最近調子がいいみたいだね」

「俺もビックリしてるよ、まさかここまで良いとはね」

「この分だと新人戦はいけるんじゃない?」

「いや、いかないとマズイだろ」と苦笑い

「もちろん、いってもらわなきゃ困るよ」

「何で?」

「だって・・「見つけたー!!」えっ?」

「・・なんだ、お前か」

「お前か、じゃないわよ!せっかくだらしないあんたに檄をとばして

やろうっておもってたのに!」

こいつの名前は畠中樹希(いつき)雪奈ほどではないが中学校から一緒に陸上をやっている

「はいはい、そりゃあどうも」

「なんか気に食わない言い方ね、一回ぶっ飛ばしていい?」

「・・・モウシワケゴザイマセンデシタ」

只ならぬ気配を(樹希の後ろに阿修羅像が(汗))感じたので謝っておく

「よろしい、てか話がずれちゃった、さっき先生が信也のこと呼んでたわよ」

「まじかよ!?それ早く言えって!」

「ちょっと!・・・あーあ、行っちゃった」

「どうしたの?」

「それがね・・・」







「俺が日本選手権に出ないかって!?」

「ああ、お前の記録上は全然問題ないから誘ってみたんだが」

「日本選手権・・・」

「さっきのTTでは34秒前半出したそうじゃないか、

ひょっとしたら47、いや46秒台も夢じゃないぞ?」

「・・・」

「どうだ?」

「自分の力を試してみたいと思います!」

「わかった、とりあえず申し込んでおくからな」

「はい!ありがとうございます!」

「じゃあ大会まで二週間あるから明日からのメニューは全てお前に任せる

・・・日本代表になってこいよ!」と冗談交じりに笑う監督

「まあ、がんばります、それでは失礼しました」



ガラガラ



「ふぅ・・・日本選手権か・・・」









「あ、信ちゃーん!」

「おう、雪奈か」

「凄いね!信ちゃん日本選手権出るんでしょ!?」

「え、なんでお前が知ってるんだ?」

「さっき樹希から聞いたんだよ〜、すごいね〜」

「おまえがそんなに喜んでどうするんだよ?」

「だって、だって〜信ちゃんがすごい大会に出ると私も嬉しいんだもん」

まるで自分のことかのように喜んでくれる雪奈

「そうかい・・・んでお前はこれから帰るのか?」

「ううん、信ちゃんを待ってたの・・・一緒に帰ろ?」

さっきの嬉しそうな表情から一転してほのかに頬を染める雪奈

「いいけど、なんで顔真っ赤なんだ?」

「えっと、その・・・夕日が赤いからだよ!」

照れてるのか俺の手を引っ張っていく

「こら!引っ張るなって!」

「信ちゃんがわるいんだからね!」

「俺かよ!?」と思わずツッこむ

「早く帰ろうよ!」

「ったく、待てよ!」



夕日に照らされながら二人は一緒に帰っていくのであった























それから、俺は日本選手権の為の練習に取り組んだ。

今のタイムでも十分なのだがせっかく高校の代表として行くのだから

恥じない走りをしたいと思ったからだ



そして当日



「じゃあいってきまーす」

家を出発しようとしたら家の前に雪奈が待っていた

「ど、どうしたんだ?こんな朝早く」

「送り迎え」

えへへと舌をちょこっとだして笑う雪奈

「おまえな〜、まだ暗いのに起きて大丈夫なのかよ」

「だってせっかく信ちゃんが大事な大会に出るのに私はぐっすり

寝てなんかいられないよ!」

「はぁ・さいですか」溜息混じりに笑う

「それに・・・一番最初の送り出しは私がやりたいって思ってたから」

「・・・何で?」

「・・・・」

「・・・そっか、わかった」

「えっ?」

「ありがとうな雪奈」

お礼にと頭を撫でる

雪奈は黙って俺の為すがままに目を瞑っている

これは小さいころからの癖で、俺がお礼代わりにやっているものだ

「じゃあ、いってきます」

「・・・いってらっしゃい!」

雪奈に見送られて俺は家を発った









その日の内に予選、準決、決勝がありかなり過密ではあるが

全国大会に比べればまだマシな方だった



予選は48秒05のベストタイムで3位で通過

続く準決では更にタイムを伸ばして47秒56

で4位だったが他の組より速かったのでなんと初の

決勝まで駒を進めることができた。

しかし決勝は実業団や一流の選手に混じって高校生が三人も

いる中での決勝戦で47秒24のベストタイムではあったが

7位とゆう結果だった

だが、おかげでジュニアオリンピックの代表選手として選ばれる

ことになり、晴れて初の日本代表になることができたのであった





結果は世界で12番目とゆうことだったがこのことから

全国大会に向けての自信に繋がった

「夏」





「また合宿!?」

「そうだよ〜、高校生活最後の夏合宿だよ!」

なぜか張り切っている雪奈

「おれ、あそこの食事嫌いなんだよな〜」

「もうっ!好き嫌いはだめだよ!」

めっ、と叱られる

「そんなこと言ったってさぁ〜」

俺だけではなく部員全員一致であそこの食事は・・・

「それなら心配いらないよ!今年から自分たちで作るんだから」

「・・・はぁ?」ナニヲオッシャッテルノデスカ?

「なんか今年の予算じゃ人を雇えないからって、監督が言ってたよ」

「・・・・」

「大丈夫!私が信ちゃんのご飯作ってあげるから!」

まかせてよ、とばかりに胸を張る

「まあ、それなら大丈夫か・・・じゃあまかせた」

「うん!まかされたよ!」





今年も三泊四日の県外での合宿は他の高校には珍しく自分たちで練習メニュー

を組んで練習するとゆうものだ、監督はその時その時にアドバイスを

するのみとゆうものだが、それは新監督になってからで去年までは、監督

の出したメニューをこなすとゆう普通のやり方であったが新監督の方針により

生徒の主張を尊重した練習メニューだ、ちなみに今年の監督は現役時代

は日本代表選手として海外でも活躍した凄い人である



「しんちゃ〜ん、できたよ〜!」

「・・・大声に出さなくてもわかるから」

「・・・できたよ」

「なんでお前もさり気なく言うんだ?」

「そ・それはもちろん私「も」作ったからよ!」

「えへへ、今日はカツカレーだよ」

「へぇ〜、うまそうじゃん!」

「カレーのところはね、樹希が作ったんだよ!」

「・・・」

「な・何よ」

「毒とか入ってないよな?」

「入ってない!」

「じゃあポイズンは?」

「無い!とゆうか同じ意味じゃん!」

「わかったから、そんなに怖い顔するな」

とりあえず一口

「・・・・・」

モグモグ

「ど・どうかな?」

「・・・うまいじゃん」

「へっ?」

「いや、真面目に美味いよ!店に出しても全然大丈夫なくらい」

「ほ・本当?」

恐る恐るといった感じで聞いてくる

「こんなことで嘘言ってもしょうがないだろ?」やれやれ、と

「あ・・・ありがとう」

これがこいつの、いつもがさつで暴力的な一面の中に見せる

ひょんなことで照れる、可愛いところである

「しんちゃ〜ん、私も作ったんだよ!」

「おまえはカツのところか?」

「そうだよ〜!しかも全て手作り!」

「マジかよ!?」

こいつ、他のところはダメダメではあるが得意科目と言ってもいい

分野で、店に並べてもおかしくないくらいに美味い料理を作ることができる











夕食の時間も終わり、俺は一人でベランダで涼んでいた

「ふぅ〜・・・」

俺たちの住んでいるところと違って夜はかなり涼しく、快適なものだ

「し〜んちゃん!」

「なんだ、雪奈か」

「なんだじゃないよ〜!」

「じゃあどうした?」

「えっとねー涼みにきたんだ」

「まあ、立ってないで座れよ」

「うん、そうするよ」

そういって俺の隣にぴったりくっつくように座ってきた

「こら!暑苦しいだろうが!」

「いいじゃない、いいじゃない!減るもんじゃないし」

「ったく・・・」

「でも・・・」

「ん?」

「そうやって結局は信ちゃん、優しくしてくれるよね」

「そうか?」

「そうだよ、中学校の時も最後の大会で私が県大会に行けなくて

泣いてた時も泣いてる私の傍にずっといて撫で撫でしてくれたよ・・・」

「そういえば・・・そんなこともあったな」

「信ちゃん、忘れっぽいから忘れてると思ってたよ」

「こら、俺を何だとおもってやがる」

「うんっとね・・・忘れんぼうさんで意地悪で・・」

「なんか悪い評判ばっかだな」

暫くの沈黙後に、頭を俺の肩に乗せて

「・・・でも、すっごく優しくて、頼りがいのある、いつも

私を守ってくれる私だけの信ちゃん・・・」

「・・・」

そのまま暫くふたりは月夜に照らされながら寄り添っていた













「やっぱり、信也は雪奈のことを・・・」













偶然に二人に鉢合わせた樹希は、二人の会話を聞いてある決心をした





















「秋」





新人戦も間近に迫ったある日の放課後、樹希に呼び出されていた

「何だよ急に、今日は部活がないからいいけど・・・」

「・・・」

いつもの樹希じゃなかった、何と言うか・・・何か秘めた決心

をしている、そういう顔だった

「で、何だよ、こんな人気のない所に呼び出したりして」

「・・・じゃあ、単刀直入に言うね」

「ああ」

「信也は・・・雪奈のこと・・・好き?」

「なっ!?」

「ねぇ・・・どうなの?」

「・・・なんで、お前がそんなこと聞くんだよ」

いつもの樹希じゃなかった、いつもの樹希なら笑って冗談で済むはず

なのだが・・・

「私ね・・・」

一度出そうとした言葉を飲み込んだが

「あんたのことが好きなの!中学校の時からずっと好きなのっ!!」

「っ!!」

「高校に入ってから更に信也のことがどんどん好きになっていって

もう、あんたに話し掛けられるだけでドキドキするくらい、

どうしようもなく好きなの!!」



知らなかった・・・あの男勝りで喧嘩っ早く、いつも俺のことを

おちょくっていたあの樹希が俺のことを・・・

「でも、信也のことを見ていくと、いつも傍にいるのは私じゃなくて

雪奈だって気ついた・・・私なんか唯の中学からの同級生なんだって・・・」

「・・・」

「でも、そんなのは嫌っ!」

「ねえ、どうなのよ?信也は雪奈のことが好きなの?」

「俺は・・・・」

どうなのだろう?いつも危なっかしくて、ドジでおっちょこちょい

で妹みたいなやつだと思っていたけど、でも・・・

あんなのでも精一杯俺に尽くしてくれていた

「新人戦・・・」

「えっ・・・・?」

「新人戦でもし、俺が表彰台に上がれたらはっきりとした答えをだす・・・」

「・・・」

「それでいいか?」

「・・・うん」

恐らくこの意味をわかっているのだろう、俺が何もなければ

県の表彰台どころか地方大会の表彰台にもあがることができる・・・

それは、樹希に断らなければならないという意味だ・・・

「・・・まったく、私を泣かせた代償は大きいわよ!」

瞳にうっすらためた涙を拭って笑顔で話す

その顔はなぜか晴れやかであった

「悪かったな、女泣かせで」冗談混じりに言う

「まったく!これで雪奈も泣かせたら承知しないんだからね!」

「ああ・・・絶対に泣かせるようなことはしない」

「当たり前よ!何てったってこの世紀の美少女の樹希ちゃんを

泣かせた(振った)んだからね」

「今度、詰め合わせするから」

「じゃあね〜・・・町に新しく出来たケーキバイキングで手を打ってあげるわ」

「はいはい・・・奢らせて頂きますよ」

「約束だからね!」

そう言って走って去っていってしまった



樹希のことだから明日には普通通りに接してくれると思う







今度の新人戦はなんとしても表彰台、いや、トップに立ってみせる

樹希の約束のため・・・そして、雪奈のために











そして始まった高校生活最後の新人戦

今年は新たに200mもエントリーしてみた

というのも、なんとなく一種目だけじゃ寂しい気もしたし

元々200mに興味があったからだ



まず400mの予選は流して49秒76でダントツで予選通過

そして200mは初めてだったが23秒06で一位通過

400m準決勝も48秒37で通過

200m準決勝は22秒13で何とか通過

そして400m決勝は47秒01のベストタイム、および県新で優勝

200m決勝は初めての経験だったが21秒63で優勝

晴れて県の二冠を達成、それに来年の総体のシード権を獲得



そして地方大会の予選

400m予選は流石に強物ばかりだったが県の代表として

恥じない走りをしたかったので何としても予選落ちは避けたかった

記録は48秒37で一位 200mは22秒98で二位通過

準決勝は大会新で47秒05で通過 200mは22秒01で一位通過

決勝戦は少し記録狙いで行き、遂に46秒78という未知の領域で優勝

200mも21秒38で優勝、なんと県、地方大会で二冠を達成してしまった

「少し出来過ぎかな?」と自分でもビックリ







この晴れ晴れとした中、自分の中である決心がついた













地方大会から家に帰ると家のまえに誰かが立っていた

「・・・雪奈?」

「あ、おかえり!」

どうやら俺が帰ってくるのを待っていたようだ

「どうしたんだよ、もう夜遅いぞ?」

「だって前もいったけど、一番最初の送り迎えは私がするって

いったじゃない!」

「あー、そう言えば言ってたな」

「そうだよ〜、もうっ!」

膨れっ面で怒る雪奈



「・・・なあ」

「うん?なあに?」

「今、少しでいいから時間あるか?」

「いいけど、どうしたの?」

「ちょっと話したいことあるからさ」











近くの公園







「うんっしょ!それで話って?」

いつものベンチに二人で座る

「俺・・・新人戦の前に、樹希に告白されたんだ」

「・・・えっ?」

「中学の頃からずっと好きなんだってよ・・・驚いたぜ」

「・・・」

「そのときに聞かれたんだ」

「・・・何て?」

「「信也は雪奈のこと好きなの」って」

驚く雪奈

「まったく・・・考えもしなかったよ、まさか樹希からそんなこと言われるとはな」

「・・・それで、信ちゃんはなんて答えたの?」

「新人戦で表彰台に上がれなかったら、その思いに答えるって」

「・・・じゃあ」

「・・・まだ言ってなかったけど、俺、地方大会でも優勝してきたぜ」

「・・・・」

「もう必死だったよ、表彰台に上がれなかったらどうしようかと思った」

「・・・・」

まだよく状況を理解していないような表情の雪奈

「俺は、お前のために優勝してきたんだ」

「・・・・えっ?」

「・・・好きだ」

その一言でまるで待ってましたとばかりに雪奈の瞳から涙が溢れ出してきた

「し・しんちゃ・・ほ・んとう・・・なの?」

「ばーか、嘘言ったってしょうがないだろーが」

「うっ・・・ひっく・・・」

「もう・・・泣くなって」

未だに触れたことのない雪奈の身体を抱きしめる

「っ!!・・・うぇ〜ん!!」

それがきっかけなのか大泣きしてしまった









「・・・もういいのか?」

「うん・・・」

泣いている最中もずっと抱きしめながら頭を撫でてやった

「そういえば・・・まだ雪奈の答え聞いてなかったな」

「私?」

「だって俺だけ言ったってお前が答えなければ不公平だろ?」

「・・・・・」

「・・・・・」

「私もね、小さいころから、ずーっと信ちゃんのことが大好きだよ」

「・・・ありがとう」

よっぽど恥ずかしかったのか、俺の胸に頭を乗せてきた

それを自然と抱きしめる

「これで私の夢がかなったよ・・・」

「夢?」

「うん」

































しんちゃん

どうしたの?ゆきな

あのね、やくそくしてくれる?

?いいけど、なにを?

うんっとね・・・えっと・・

もう〜、はやくいってよ!

うん、わたしがおとなになって、きれいなおんなのひとになったら

なったら?

そのときは・・・・



「私を信ちゃんのものにしてくれる?・・・」

「えっ・・・」

「だろ?」してやったりという笑顔で答える

「お・覚えていたの?」

「ばーか!お前が散々俺に言って聞かせたんだろうが!」

「そ・そうだっけ?」

「まさか忘れたとは言わせないぞ?」

「うっ・・・うぇ〜ん(涙)」

また泣いてしまった

「やれやれ・・・」はぁ、と溜息

でも、そんな雪奈が愛しいと思う



「雪奈・・・」

「な・何・・・んっ!」

「・・・・」

「・・・・」

数秒だったが、雪奈の唇に触れた・・・夜ということも

あり最初は少し冷たかったが、次第に暖かくなっていくのを感じた

「・・・迷惑だったか?」

ぷるぷる、と首を振る

「・・っと・・」

「うん?」

消え入りそうな声で呟く

「もっと・・・してほしいよ」

「・・・仰せのままに」

下を向いている雪奈の顎を上に上げ、頬に手を添える

「信ちゃん・・・」

「雪奈・・・」

今度は強引、ではなく恋人としての

優しいキスをした・・・









こうして俺と雪奈は幼馴染から一線を超えた「恋人」になった













「冬」







秋の新人戦で自信をつけた俺は来年の、最後の総体に向けての体力作り

に励んでいた、あの出来事から樹希は一層俺のことをおちょくるようになり

おれはそれに振り回される羽目になった

あの新人戦の結果から、日本の陸上界の最高峰の日本陸上連盟から

A代表の合宿に参加してみないかとの誘いがあった

もちろん、監督や他の部員も喜んだが、俺はそれを辞退した

というのも、まだ自分自身に足りないところがあるのと、

本当の目標である高校総体に賭けたいとの思いから断った

それをみんなに言ったら怒られると思ったが、以外に納得してくれた

その中の理由に・・・

「えへへ〜」

嬉しそうに俺の腕の中で甘えているにゃんこ(雪奈)

「そんなに嬉しいものか?」

「だって大好きな信ちゃんだよ?嬉しくないわけないじゃん!」

よくわからん理由だがとにかく嬉しいらしい

付き合ってみて改めてわかったことだが、雪奈はすっごく甘えん坊で

泣き虫だということがわかった、本人曰く「信ちゃんだから素を出せる

んだよ!」らしい





そう、雪奈のためにここに残ったのだ、もしそれを言ったら

間違いなく送り出されるだろうから黙っておく











そして・・・



今、俺は全国の決勝の舞台にいる

ここまでダントツのタイムで予選を突破してきた

ここまできたら、目標はただ一つ









(位置について)





(ようーい)





パンッ!















がんばれ〜信ちゃーん!!











頂点にたって、チャンピオンの称号を雪奈に捧げるという夢を・・・













終わり