幼馴染After story
   「へと続く並木道」

     作者:空ーAIRー


















二月中旬、そろそろ暖かくなるこの時期

桜の木も花を咲かせる準備をしている。

それでも・・・まだ春には遠く、肌寒い風が時折舞い降りる



「やっぱり外に出たのはいいけど、やっぱり寒いね」

「はぁ〜・・・だから言ったんだよ、今の時期暖かくなったからって

外に出るのは自殺行為なんだって」



ある町の、ある並木道で二人の男女が仲良く歩いていた



「だって!良い天気だったから信ちゃんとお出かけしたかったんだもん!」

「あのな〜、いくら天気がよくて最近暖かくなってきたからって

まだ時期は冬なんだぞ?それに猫並に寒がりの雪奈なんか来たってすぐ

帰ろう?って言い出すのがオチなんだぜ?」はぁ〜、とため息ひとつ

「いいの!こうやって信ちゃんとくっついてるから温かいもん♪」

そういって腕に抱きついてくる

「・・・」

「えへへ〜♪」

「・・・ったく、こんな都合のいい人間湯たんぽなんかいないぞ?」

「ここにいるから大丈夫だよ〜」

とっても嬉しそうなので黙っておく

「しかし・・・」

「?」

キョトンとした顔と頭に?マークをいっぱいにつけた雪奈がこっちを向く

「・・・重いな」ポツリと一言

「う〜・・・そんなに重くないもん!!信ちゃんがだらしないだけだもん!」

「ふ〜ん・・・そうやって俺のせいにするんだ〜」

「ぅ・・・な、なによ」

「じゃあ聞くけど、最近あそこの棚に置いてあったお菓子がないのはなんでだ?」

ギクッ!と、体を強張らせた

「・・・・・(滝汗)」

「なんでだろうな〜?雪奈には厳重に食べるなと注意してあったから雪奈

ではないと思うんだけど・・・」

チラッと雪奈を見る

「(滝滝滝滝汗)」

すでに全身がびっしょりになる勢いで冷や汗をかいていた

「おや?どうしたんだ?こんなに寒いのに、汗かくなんて」

「ぅ・・・それは、その」

「それとも・・・何か思い当たる節でもあるのか?」

「いぁ〜・・・」観念したのか

「だって・・・お腹すいてて」

「あのなぁ〜、あれほど医者には間食は良いけど、スナック系や量は控えるように

って言われただろ?」

「うん・・・」シュンッとうな垂れる

「それにさ、・・・もう一人だけの身体じゃないんだし、無理すんなよな?」

「・・・うん」

恥ずかしそうに、けれど幸せそうにお腹に手を当てて微笑む

「それに・・・こんな寒い中本当は歩かせたくなかったんだし」

「うん・・・でもね」

繋いでいた手を離し、一歩前へ歩き出す

「この並木道、私と信ちゃんが出会った大切な場所だから・・・だからこのうまれて

くるこの子と一緒に歩いてみたかったの」

呆気にとられていたが苦笑い

「まったく・・・強情なところは母親になっても変わらないんだな」

ため息混じりに笑う。

「それにね」

「この並木道を通り抜けたら、その先に春がある・・・そんな気がして」

「・・・」

「だからこの子が生まれてくる前に実感が欲しくて」

「ならここで立ち止まってないで歩こうぜ!」

俺が追いついたこに気付かなかったのか、キョトンとした表情をしていた

そして、雪奈の手をとる

「えっ?!」

「ほら!」

最初はわけがわからず、ただ手を引かれるだけだったが何かを察したのか

あのとびっきりの笑顔で着いて来た











              「うん!」













 to next